事の発端は子どもが遊んでいたおもちゃであった。
私はプラレールと木製トレインを見て思った。
これ、つなげたら喜ぶんじゃないか、と。

これら2種類の電車のオモチャはレール幅が近く、相互に車両が乗り入れ可能である。
ただし、接続部分の形状が異なるのでつなげることはできない。
もちろんオフィシャルでは2種類の線路をつなぐ部品は存在しないが、調べてみるとメルカリ等では3Dプリンターで作られたモノが販売されていた。
良心的な値段なこともあって、このまま購入しようかとも一瞬思ったが、、
せっかくだったらもう――3Dプリンター買って作ろう!と思い立ったのであった。
データ自体は親切な人がネット上に公開してくれているので、3Dプリンターさえ購入すればすぐに作れそうである。
てことで導入したのは
Bambu Lab A1 miniという機種。
「安い・簡単」という触れ込みであったが、
結論から言うと 本当に簡単 だった。拍子抜けするくらい。
最初の儀式:ベンチー
3Dプリンターを買うと、まずみんな作るものがある。
小さな船、通称3DBenchy。
3Dプリンター界の「試し刷り界のサザエさん」みたいな存在である。
データはプリンター内に初めから入っている。

プリントを開始するとノズルがウィーンと動き出し、細いプラスチックを少しずつ積み重ねていく。
せわしなくヘッドが動き、何もなかった場所に、じわじわと船の形が現れてくる。
小さな製造工場が自宅にできたみたいで地味に感動する。
おおげさに言うと魔法使いになった気分である。

ベンチー、お風呂で沈没
このベンチーの船は、意外にも子どもに人気であった。
さっそく、子どもがお風呂に持っていって遊んでいた。
ただし浮かない、というか転覆。

ベンチーは「プリンター性能テスト用」であって、別に船としての性能は求められていないので当然か。
しかし、予想外によく遊んでるので「浮く船」を作るべく検索すると、、、
……ありました。
この世界、だいたい誰かがもう作っている。
いくつかダウンロードして印刷。
ちゃんと浮く船が完成!
無から物体を作り出す、万物創造の力を得たみたいで気分が良い。

本来の目的:レール接続パーツ
さて、本題。
プラレールと木製トレインをつなぐ部品を作ることにする。
3Dプリンター購入をためらっていた理由に「まずCADで設計するんでしょ?面倒くさそう」ってのがあったが、そんなことは杞憂。
世の中には親切な人がたくさんいて、膨大なデータが公開されているのである。
ありがたくダウンロード。
あとは専用ソフトでスライスしてプリンターへ送るだけ。

ここでいう「スライス」というのは、名前の通り輪切りのこと。
3Dプリンターは、いきなり立体を作るわけではなく、薄い層を積み上げて立体を作る仕組みである。
そのため、
ノズルがどこを動くか
フィラメントをどれくらい出すか
何層で作るか
といった情報を計算して、プリンター用のデータに変換する作業が「スライス」である。
そして印刷スタート。
30分ほどで完成。

印刷時に形が崩れないよう作られたサポート部分をラジオペンチでベリベリ外す。

こうして、ついに プラレール×木製トレインの相互乗り入れが実現した。

鉄道会社なら記念式典をやるレベルの出来事なのだが、子どもたちはというと、、、
相互乗り入れには、あまり関心がない模様☹
子どもがハマったのは「物」ではなく「工程」
その後、子どもからは色々と3Dプリンタで作って!とせがまれる。
しかし、どうも「できるモノ」より「作成工程が見たい」というのが子供の本音らしい。
確かにプリント中の3Dプリンターって、妙に見てしまう。
ノズルが動き回り、
線が面になり、
面が立体になる。
子どもが横でじーっと見ている。
そして私も横でじーっと見ている。
気づくと二人で監督。
フィラメントが減る減る
そんなわけで最近は、
「今日は何を作ろうか」
ではなく
「今日は何を作らされるのか」
という感じ。

こうして今日もまた、不要な物体が作成されるのであった。

3Dプリンター。
これはどうやら――
静かな沼というやつである。
気づいたら家の中が、
自作プラスチックであふれる気が・・・

