われわれが日々食べている食材がどのように生産されているかは知っているようで知らないことが多い。
そんな生産現場のひとつを見学すべく、定置網漁業を見学しに行った。
見学に行ったのはココ
「福井県若狭町神子地区」である。
神子は「みこ」と読み、常神(つねかみ)半島の先っちょの方に位置していて、昭和44年の県道の開通までは、さらに先っちょにある常神地区と共に陸の孤島であった。
現在、県道はさらに整備されつつあるものの、訪問したときの率直な雰囲気は「孤立した集落」そのものである。
今回はこの神子地区の民宿に一泊して、早朝定置網の網上げを見学する。
民宿の駐車場はモロ県道である。
国道の一車線が駐車場と化している。
地域にはその地域のルールがあって、それでうまく回っているのならそれでもいいと思うが、都会人から「漁村は治外法権!とはこのことか」との声も聞かれた(^_^;)
泊まった民宿のおかみさんがいい人で、夕食のときに神子のことについて質問したら、いろいろ教えてくれた。
曰く、神子地区の戸数は36戸で昔からずっと変わらないとのこと。
なぜなら、長男以外が漁業権や田畑を相続することは許されず、次男以下は地区を去らなければならない超閉鎖社会だからである。
近年はこの地区も過疎化の流れの例外ではなく、長男が都会へ出て行ってしまう家もあるにはあるらしいが、よそ者が移り住むことはおろか、次男以下が家を継ぐことすら、いまだに認めていないという。
いっぽうで、「外部の者が足を踏み入れるのを拒んでいる」というわけではなく、観光客はウェルカムなのが神子の面白いところ(というか現存できている理由?)である。
神子観光組合なるものがあって、今回参加する定置網 網上げ見学ツアーのほか、様々な企画を行っているようだ。
定置網の網上げは5時出航とのことで、4時30分ごろに集合場所へ向かう。
この前行った定置網が3時出航だったことを思うと、比較的遅い。
漁場が近いせいもあるだろうけど。
定置網漁とは「魚は何かにぶつかると沖へ向かって泳ぐ習性」を利用して、箱状になった網(箱網)へ魚を迷い込ませ、魚を漁獲する方法である。
平べったい定置網の船に乗り込む。
その際に見学料500円を渡す。
3000円とか5000円とか取るところが多いことを考えると破格の値段だ。
ただし、観光客に対しては漁の説明等は一切なし。
安全上の注意もない。
救命胴衣の着用くらいはしてもらった方が良いのでは?とこっちが心配になる。
許可の問題とか保険の問題とかいろいろありそうな・・・
ここの定置は2艘の船であげるタイプで、機械化によって、けっこう省力化が進んでいるほうである。
1艘であげると、少人数化が可能だが、大漁の時は魚を痛めやすいなどの問題があるそうだ。
網をたぐるのとか、ロープを引張るのとかは全部機械でやる。
どんどん箱網を狭めて魚を集めていく。
で、最終的に2艘の船の間にすべての魚を集めて、すくい取る。
漁が終わったあとは、船上で刺身を振舞ってくれました。
マトウダイとかツバスとかだったかな。
みんな遠慮してあまり食べないから、バクバク食べまくりました。
港に戻ると選別作業が行われます。
クラゲが多くて大変そうでした。
捕ったばかりの魚をその場で購入することもできるので、たくさん人が集まってきます。
500円とか1000円とか、おじさんが適当に値段を付ける。
で、売れなかったものは市場に持っていかれる。
頼めば、内蔵とってくれたり、血抜きしてくれたりもします。
てことで、いろいろ端折ったけど、神子はいろいろと楽しいところです。
この夏、あなたも神子を訪れてみてはいかが?
外部から移り住むためには長男に嫁ぐしかないという超閉鎖社会の一端を垣間見ることができるかもしれませんよ。